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{main} 読み物第二回 (2007/06/06)

組織の力と個人の力

はじめに

読み物第2回は、組織と個人の関係について語ってみたいと思います。
第1回で、コラボレーションについての話を書きました。コラボレーションは組織の力です。組織によって得られる力とはなにか、その中で個人が発揮する力とはなにかを考えて見ます。

組織とは?

バーナード(Chester Irving Barnard, 1886年 - 1961年)による組織の定義は以下の通りです。

  定義  
    2人以上の人々の、意識的に調整された諸活動、諸力の体系
      無意識に調整される諸活動の体系は非公式組織
  組織成立の条件
    意思疎通(communication)
    貢献意欲(willingness to serve)
    共通目的(common purpose)

組織が力を発揮するには、組織のメンバー間のコミュニケーション、貢献意欲、共通目的があり、その活動が適切に調整されればよい、ということになりそうです。
いわゆる組織論では、この定義に基づいて組織を考えているようです。そういった観点での話は、世にある書物に書いてあるのでここではこれ以上触れません。

組織の目的と活動

組織は、共通目的をもった人の集団です。この共通目的はどうやって決まるのでしょう?
ひとつ考えられるのは、たまたま共通の目的を持った人が集まっている場合があるでしょう。
しかし、会社組織などでは、会社としての目的を上意下達として与えられる場合もあるでしょう。
その目的は、おそらく具体的な方法や作業ではなく、あいまいなものかもしれません。

組織の活動は、目的を達成するためにメンバーが何らかの行動をし、その行動が組織の目的に沿うように調整する行動も行うということだと思います。
つまり、組織の力は、個人の活動を上手に調整することで発揮されます。個人の活動を調整するということはすなわち、目的を達成するために必要な行動を個人の行動に分解するという作業を行うということになるのではないでしょうか。その調整を行うのも組織の活動であり、分解すると個人の行動に行き着いてしまいます。

でも結局組織の力は個人の力からできている

個人が行動をするということは、その人の目的を達成する手段や方法がわかっている必要があります。一人一人が効率的に自分の役割を果たすことができなければ、その組織の効率は良くはなりませんし、個人の行動の効率性は、その手段や方法の良し悪しに依存します。
常時ルーチンワークを行う組織であれば、個人の活動の効率的な手段や方法はすでにマニュアル化されて定義されているかもしれません。たとえば、mマークのハンバーガー屋さんなんかは徹底的なマニュアルでアルバイトを使っていることなどは有名です。
では、そのマニュアルは誰が作ったのでしょう?
作ったのは、おそらくマニュアルを作ることを目的とした組織でしょう。しかし、マニュアルを作る作業はルーチンワークではありません。
ルーチンワークでない活動をするには、手段や方法を毎回考案する必要があるのではないでしょうか?
組織の目的を達成するために、個人の役割分担を決めたり調整したりするのも目的を達成する手段です。すなわち組織の調整の手段・方法・手法・技法を考案する必要があるということです。

考案するということ

考案するという作業は、人間にしかできません。コンピュータは、与えられた手段手法に基づいて活動し結果を出すことができますが、考案することはできません。コンピュータの活動の手段手法は人間がシステム開発といわれるの活動を行い、コンピュータに教え込んだものです。

組織も厳密には考案することはできません。

考案、すなわちアイデアを出すことができるのは人間の脳髄だけです。すなわち、考案するのは絶対的に個人の活動なのです。人間の脳髄は、発明すら可能です。火の無いところに煙を立てるように、全く新しいアイデアを思いつくことができます。

組織の目的を達成する手段を考案するのも個人であり、組織のメンバーの役割分担を考案するのも個人であり、ハンバーガー屋のマニュアルに何をどのレベルで決めればよいか考えるのも個人のアイデアが元になっているのです。

組織と個人

結局、組織は組織としての目的を持って活動しているといっても、最終的には個人個人が出したアイデアに基づいて運営されているということになります。
組織の力は、個人が思いついたことや考案したことを実現できることなのかもしれません。個人のアイデアには穴や不備や矛盾があるかもしれませんが、かけがえのない発明です。組織の力すなわち多くの人のアイデアを加えることによって、元となるアイデアを洗練させ実現可能か手段・方法に変えていくことができます。

組織の目的も個人のアイデアが元になっており、個人への役割分担も誰かの考えに基づいており、役割を与えられた個人はその役割を果たすために何らかのアイデアをださなければなりません。

まとめ=個人の力

個人の力は、考案する力です。組織はメンバーや組織構成や役割分担を変えることなどで能力を高めることが可能かもしれませんが、個人の力は個人のものであり代替はできません。個人の能力は、個人の努力によってしか高めることはできません。

優秀な人材とは、すなわち、組織の目的や自分の役割に対して効果的な手段や方法が考案できる人だといえます。
部下の意見を評価できるとか、意思決定ができるとか、一般的に言われる優秀さといえども、結局自分の役割を果たす手段として部下を上手に使う手段が考えられているとか、自分の役割としての意思決定を行う手段や方法が考えられているということになります。

そういう力を持った個人がいる組織は、強い力を持った組織になれるように思います。

 
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